飲みの席での定番ネタといえば、出身地ネタ。みのもんたと久本雅美が司会を務める『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)は、47都道府県の独特の風習を紹介して人気を博しているが、県民性がはっきりと現れるのが「おカネ」の話しだ。
1世帯(2人以上)当たりの貯蓄額が最も多い県は奈良で、2位が東京、以下、兵庫、神奈川が続く。最下位は沖縄で次いで青森、北海道、宮崎という結果になっている。経済学者で京都女子大学客員教授の橘木俊詔氏が語る。
「貯蓄額は収入の多い大都市圏が有利であり、特に東京・大阪に勤める多くのサラリーマンは近県から通勤しているため、通勤圏内の県が上位となる」(橘木氏)
貯蓄額と相対するのが負債額だ。最も負債額が多い県は神奈川で、埼玉、東京、大阪と続き、意外にも貯蓄額上位の県がランクインし、奈良は22位。負債額の多い地域は住宅価格が高く、住宅ローンが負債額を大きく引き上げる要因となっているようだ。
投資のやり方でも県民性は明らかになる。投資志向を計る指標の一つに、貯蓄額における有価証券額がある。上位は貯蓄額同様、大都市圏が並ぶが、注目すべきは貯蓄額8位の香川が、有価証券額では全国平均以下に位置する点。リスク嫌いの県民性がうかがえる。
一方、いざという時のために備える生命保険額もトップは神奈川。ただし、2位以下の顔ぶれはガラリと変わり、鳥取、宮城と、有価証券額では全国平均を下回る県が上位にランクインしている。神奈川を除くと、リスクをできるだけ回避したいという堅実な県民性が透けて見える。
◆取材・文/浅井英彦(HEW)
※週刊ポスト2018年3月9日号