日本全国で、県によって大きく事情が異なるのが「住宅」。データを見ると、その違いは浮き彫りになる。
持ち家率の全国平均は61.84 %。堂々の1位は富山。以下、秋田、山形、福井、新潟が続き、北陸、東北の日本海側が上位にランクインする。一方、最も低いのは東京だ。これに沖縄、福岡、大阪、北海道が続き、都市部に人口が集中する都道府県に低い傾向が見られる。経済学者で京都女子大学客員教授の橘木俊詔氏がいう。
「北陸3県の持ち家率が高く、3世代同居が多いというのは有名な話。この地域は家業を継ぐ人が多いからで、北陸3県の特徴となっています。最下位の東京は独身者が多い上に、人の出入りが激しい地域であるからと考えられます」
国勢調査に基づく都道府県の移動人口の割合を見ると、持ち家率最下位の東京が27.3%と最も高く、次いで沖縄、宮城となる。一方、持ち家率トップの富山は16.4%、秋田は15.2%、山形は17.0%と下位に並び、持ち家率とは真逆の結果となった。
一方、住宅地価の全国平均は1平米当たり5万451円で、最も高いのは言わずと知れた東京。以下、神奈川、大阪、埼玉の順に大都市圏がランクイン。最も低いのは秋田(1万3500円)で、東京とは約24倍もの差となっている。
「利便性の高い大都市圏に住みたい人が多いため、需要と供給の関係により地価が高くなるのは仕方のないこと。これは経済学の原理通りです」(橘木氏)
首都圏では千葉が8位。関西圏では京都が5位、兵庫が6位、奈良が11位に位置し、全国平均を上回っている。
◆取材・文/浅井英彦(HEW)
※週刊ポスト2018年3月9日号