湯船1回分の標準水量は約200リットルで、4人家族の場合、水道代・ガス代含めて約231円かかる。そんなお風呂のお湯だが、1回入っただけ捨てるという人はどれくらいなのだろうか──。
女性セブンの読者603名(10~80代の男女)に「風呂の湯、1回で捨てますか?」とのアンケートを取ったところ、「1回で捨てる」が75.3%、「再利用する」が24.7%だった。
また、「再利用する」と答えた人に、「風呂の湯は何日まで再利用しますか?」と質問をしたところ、「2日」が59.1%、「3日」が25.5%、「ぬるつきやにおいが出てくるまで」が6.7%、「4日」が3.4%、「5日」が2%、「6日以上」が3.3%だった。
風呂の湯の再利用は、衛生的なのか。衛生微生物研究センター主席研究員の李新一さんに聞いた。
「湯を張った直後の菌数は1ミリリットル当たり数十個程度ですが、入浴後は数百個から数千個に増え、さらに翌日には数十万~数百万個と、入浴直後の約1000倍に増えます」
この数値はあくまで、入浴人数が1人の場合。人数が増えるほど菌の数も多くなる。
「湯船に増殖する菌は主に、人の皮膚などについていた細菌なので、基本的に病気になる心配はありません。ただし、菌が大量増殖しているわけですから、あまり衛生的ではありません」(李さん)
しかし、再利用している読者の中には、市販の風呂水清浄剤を使う人も。これなら菌の増殖を防げるはずだ。ただし、効果を上げるには、正しく使う必要があると、花王の商品広報は注意を促す。
「清浄剤は、雑菌の繁殖を抑え、においやぬめりを防ぎますが、入浴直後の湯が温かいうちに入れるのが原則。翌朝や沸かし直す前に入れても充分な効果は得られません」
清浄剤には、雑菌を抑える効果はあるが、汚れを分解除去する働きはないため、残り湯に汚れが浮いていたら、きれいにはならない。再利用は2~3回までがベター。体の汚れは雑菌の栄養となるので、体を洗って入り、給湯配管を掃除することも大切だ。
国土交通省の2012年調べによれば、家庭用水の約40%が風呂だけで消費されている。風呂の湯の再利用は、衛生的ではないものの、人体に害を及ぼすほどではないのも事実。貴重な資源をただ使い捨てるのではなく、洗濯に活用するなど、再利用の方法も考えるべきなのかもしれない。
※女性セブン2018年3月15日号