3月1日午前、元横綱・日馬富士から暴行を受けた貴乃花部屋の貴ノ岩が、昨年の事件発覚後初めて報道陣の取材に答えた。「少しずつ体を動かしてる」「まだまだしっくりこないです」などと語った貴ノ岩と、それを横で見守る貴乃花親方──その3日前の夜、報道陣との会見とは違う表情を見せた彼らの姿を、大阪郊外のシティホテルでキャッチした。
2月26日、ホテルの宴会場で行なわれたのは貴乃花部屋の力士の激励会。ホテルの車寄せにつけられたマイクロバスからは、スーツ姿の貴乃花親方を先頭に、グレーの羽織袴姿の貴ノ岩、貴公俊、貴源治、貴景勝ら部屋の関取衆が次々と姿を見せた。
宴会場の看板には「若手力士を囲む会~大相撲大阪場所に向けて~」とあるだけで、貴乃花部屋という表記はなかった。出入りの様子さえ目撃されなければどこの部屋のパーティかわからない、親しい支援者らだけが参加する関係者限定の若手激励パーティである。
出席者の一人はこういう。
「関西方面での古くからの支援者を中心に、会場には約300人が集まっていました。午後6時半から2時間の予定でしたが、親方や力士たちとの交流が盛り上がり、時間をオーバーして午後9時過ぎまで続いてお開きとなった」
パーティの内容は3月5日(月)発売の『週刊ポスト』が詳報するが、理事選で敗れた貴乃花親方が再出発の決意を語っている。
角界を二分する抗争が収束の気配を見せないまま初日を迎えることになる春場所の土俵は、目が離せない取組の連続となる。とりわけ十両で復帰する予定の貴ノ岩には、数々の難敵が待ち受ける。新十両には、暴行事件後に貴乃花親方を激しく批判した横綱・白鵬の内弟子である炎鵬がおり、暴行事件によって引退に追い込まれた日馬富士の所属していた伊勢ヶ濱部屋の新鋭・照強ら“因縁の相手”との取組もありそうだ。土俵上の取組からも、土俵外の闘争からも、目を離すことができない。