凄腕トレーダーの「タクマ」は、多くの女性から言い寄られていたが、みな“ステータス目当て”だった。ハイスペック男性には、彼らなりの悩みがある。そんな彼がつかんだ幸せのかたちとは──現役港区女子でコラムニストの吉川リサコ氏がリポートする。
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タクマは、トレーダーをしていた。資産は数十億円。年収も億単位。かなりのやり手プレーヤーだった。しかし、トレーダーはマーケットの変動に一喜一憂し、神経も張り詰める。プレッシャーは尋常ではない。寝られない日々が続き、飲まなければ生きていられない。アドレナリンは常に出っぱなし。そんな“限界”の環境が彼を生かしてもいたし追い詰めてもいた。
そんな時、ミキと出会った。ミキは外資系メーカーの営業をする傍ら、海外留学を目指してビジネススクールに通う勉強家であった。「いまの仕事はキャリアの先が見えてるから、海外留学してからMBAをとって、新しい環境にチャレンジしたい」──そんな上昇志向と努力の方向性が一致している才女。
おまけに、佐々木希似の美女である。私の知る港区女子の中でも尊敬できる女性で、自身も「ハイスペ女子」だった。彼女もたくさんハイスペ男性を見てきたけれど、みんなが群がるほど興味も持ちきれず、外資系金融に勤める外国人男性などとも何人か付き合ってみたものの、やっぱり恋愛より自分のキャリアに目を向けるほうがミキにはしっくりきていた。
そんなミキとタクマは知人の紹介で出会い、タクマの一目惚れで付き合いはじめ、ほどなく一緒に住みはじめた。
ミキはタクマと付き合ってもやはり、自分のキャリアにしか興味がなかった。
タクマの住まいはというと、表参道にある低層の高級マンションで、家賃は100万円超えである。