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李鵬元首相の息子が全人代落選 習主席の積年の無念晴らしか

ますます“独裁体制”を確固たるものに(AFP=時事)

 周恩来首相の養子で、中国首相や中国共産党政治局常務委員などの最高幹部を務めた李鵬氏。その長男、李小鵬・中国交通運輸相が5日開催の全国人民代表大会(全人代=日本の国会に相当)の代表を落選していたことが明らかになった。現役の閣僚である李氏が約3000人もの全人代委員に選出されてなかったことで、今回の全人代では閣僚から外れ、引退することが確実になった。李氏はまだ58歳で、引退としては異例の若さ。

 これにより、かつて大きな権勢をふるった李鵬ファミリーの権威は凋落することが確実だが、この裏には同じく太子党(高級幹部子弟)の1人である習近平国家主席の意向が強く働いているようだ。というのも、習氏の父、習仲勲・元副首相と李鵬氏は民主化要求運動の対応をめぐって激しく対立し、習氏が不遇な晩年を送ったという経緯があるからだ。

 李小鵬氏は1959年6月、北京で生まれた。華北電力学院(現在の華北電力大学)を卒業後、父の李鵬氏と同じく電力畑に進み、1991年から国有企業の華能国際電力で要職に就き、2002年の電力改革で誕生した中国華能集団公司の総経理(社長)に就任。

 2008年2月、李鵬氏が脳梗塞で倒れたことから政界に転じ、6月には山西省副省長に選出、2012年12月には同省長代理、2013年1月下旬に省長に就任。2016年9月には中国交通運輸相に選ばれた。

 李小鵬氏は父親の李鵬氏が党最高幹部だったことを考えると、今後も昇進するとみられていたが、今回の全人代で委員に選出されなかったことから、李小鵬氏のキャリアはここで終わったことになる。

 一方、同氏の妹で、かつては「セレブ」「キャリアウーマン」としてもてはやされた李小琳氏もいまや落ち目。李小鵬氏と同じく、父の電力業界への影響力から1996年には中国電力投資公司および中国電力国際公司の総経理補佐(社長補佐)に就任。その後、総経理に昇格したものの、習近平氏が最高指導者となった3年後の2015年には格下の会社である大唐集団の副総経理(副社長)と事実上の降格となり、その身分で山間部の水力発電所の所長を務めるなど左遷の憂き目を見ている。

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