《麻央さんには、私が嫁入りした当時に言われたようなことは伝えませんでした。今は時代も違いますし、息子夫婦は自分たちの考え方でやっていけばいいことだと思っていましたから》
そんな素直な思いを自著『成田屋のおくりもの』(マガジンハウス刊)で明かしたのは市川海老蔵(40才)の母・堀越希実子さん(65才)だ。歌舞伎とは無縁の家庭から350年以上続く歌舞伎の名家・成田屋に嫁いだ40年余りの「梨園妻のすべて」を語っている。
「5年前に夫を亡くして、昨夏に息子の嫁・麻央さん(享年34)を亡くし、日々の暮らしの中のしきたり、大切にしていくべきことを、今、伝えておかなければと思ったようです。食事のこだわりから、着物選び、妻、母、姑としての心構えについてまで書かれています」(出版関係者)
梨園に嫁ぐ不安から《目が腫れるまで泣いて》しまった式前日から、ようやく新婚旅行に行けたのは4か月後。お腹には海老蔵がいることがわかった。大切な跡取りの男児を産まなければいけないと、あわびの肝を食べるときれいな目の赤ちゃんが生まれると聞けば、食べ、心労は尽きなかった。
《芝居以外のことはすべて女房がやるもの。お金のことを相談してはいけない。子どもの面倒をみさせてはいけない。スーパーマーケットに一緒に買い物に行ってはいけない》
そんな希実子さんが麻央さんに初めて会ったのは今から約8年前のこと。「無理なく、無駄な苦労なく、息子の嫁でいてほしい」と梨園のしきたりについては最低限のことしか伝えなかったという。
「希実子さんは麻央さんのことを気に入っていて、絶対に逃すまいとプレゼント攻勢をしかけたこともあったそうです(笑い)」(梨園関係者)
麻央さんの花嫁衣装の打掛をデザインしたのも希実子さんだった。初めてデザインした花嫁衣装だったという。
「水衣(みずごろも)という織物で、豪華な刺繍が施されています。今でも大切にしまってあるそうです。希実子さんは着物の生活、約束事を大切にしています。母から娘へ譲り渡していけることがいいところだと。麗禾ちゃん(6才)も着物に興味があるようで、希実子さんが麻央さんに譲った着物、麻央さんのお気に入りの着物を着てくれる日が楽しみなようです。希実子さんは、着物のブランドも立ち上げていますが、孫娘の名前から一字取り『麗』と名づけたそうです」(前出・梨園関係者)
著書ではそんな着物の写真も紹介されている。成田屋の歴史は希実子さんから麻央さんへ、そして麗禾ちゃんへと確かに紡がれているようだ。
※女性セブン2018年3月15日号