2月23日未明、東京都千代田区にある在日本朝鮮人総合連合会(朝鮮総連)中央本部前に、ワゴン車でのりつけた男が拳銃を数発、総連ビルへ向けて発砲した。現行犯で右翼関係者の男2人が逮捕されたが、ネット上には奇妙な擁護論も存在する。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、思想によって無理筋な擁護が繰り返される事象を振り返り、未来を考えた。
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朝鮮総連の本部に右翼関係者2名が発砲し、建造物損壊容疑で逮捕された事件をめぐりネットで不思議な論争が発生した。人は自分が好きなもの・支持するものであれば無理くりでも擁護(正当化)する、がよくわかる展開となっている。
通常の事件の場合、「相手が誰であろうとも暴力・示威行為はいけない」ということと、銃刀法違反でも捜査されるだけに「法律は犯すな」で議論は終わりである。ただし、面倒なのがここに思想が持ち込まれた場合である。今回の件でもそうなのだが、途端にこの行為を許すべきである、という意見が出るのだ。
今回の発砲については一部から「義挙」という声が上がり、「同志を支持する」と表明する者も出た。つまり、日本人拉致を主導し、現在も独裁政権を敷く北朝鮮を支持する団体に対し怒りの鉄槌を下すことは許されること、ということだ。これが右派から出ているのだが、この主張をしてしまうと伊藤博文を暗殺した安重根を「義士」「義挙」扱いする韓国人と同レベルに陥ってしまう。
韓国人にとって、伊藤は「我が国土を侵略する極悪人」ということにされているため、安は正義の人物ということになる。だが、日本人からすれば安はただのテロリストでしかない。
また、2015年、靖国神社の公衆便所に爆発物を仕掛けた韓国人の全昶漢という男が懲役4年の刑をくらい、現在日本で服役中だ。この男も反日感情を持つ韓国人からすれば「義挙」だろう。なにせ彼らからすれば「戦犯」を祀り、植民地支配や戦争を正当化する悪の巣窟への報復を被害国たる韓国の勇敢な国士様が行なったのだから。