主婦パートは低賃金・低待遇が当たり前だった。だが、有期契約労働者が勤め先に申し込めば、無期雇用に転換できる新ルール導入(4月1日開始)を機に非正規労働者の待遇を向上させようという動きもある。背景には高齢化による労働力不足がある。総務省のデータでは2016年に6648万人だった労働者は、2065年には3946万人まで減少する。
キャリアカウンセラーの島谷美奈子さんが解説する。
「人材不足に苦悩する企業にとって、人材流出は大問題。新たな人材を確保するために求人広告を出したり、面接をしたり、研修を行ったりと莫大なコストがかかる。そのため主婦パートであっても能力によっては厚遇を与えるべきだという機運が高まっているのです。また安倍内閣が女性活躍推進法を施行したことで、“女性リーダー”を増やして社会的信頼度を上げたいという企業も多いのです」
大手デパートの大丸や松坂屋を傘下にするJ・フロントリテイリングは契約期間が1年を超える1600人を無期雇用に切り替え、産前産後の長期休暇も無給から有給にしている。ドトールコーヒーは非正規雇用者に退職金制度を導入、富士そばも退職金とともに年2回のボーナスを支給するなど、主婦パートが多い職場で続々と改革が進んでいる。九州を中心としたファミリーレストランチェーンのジョイフルは無期転換だけでなく、育児や介護に関する休暇も充実させている。
「2016年より育児休業は法定期間(2年)より長い3年に延ばしました。子供手当や子育手当なども支給しています。また介護休業も1年間認めています」(ジョイフル管理本部広報室)
この他にも働く女性を支援する企業は増えている。
「育児グッズ販売の『ダッドウェイ』(神奈川)はワーク・ライフ・バランス認定企業に選ばれており、1時間単位で休暇が取得できる制度があります。育児や介護を両立する主婦には嬉しい制度です。ソフトウェア開発会社の『サイボウズ』(東京)でもママインターンの採用実績があり、他企業にも広がりつつあります」(島谷さん)
働く主婦が日本を動かす時代がやってきたようだ。
※女性セブン2018年3月15日号