厚労省のワーキンググループは2月21日、高齢者が適正に医薬品を使うための初の指針案をまとめた。
指針案では国内に1000万人以上いるとされる高血圧患者について、降圧剤(高血圧治療薬)にはふらつき・転倒や記憶障害のリスクがあると指摘している。長尾クリニック院長の長尾和宏医師は、1日2回の降圧剤服用を1回にまとめることを促す。
「24時間効く降圧剤を、“念のために”と1日2回に分けて処方している医師もいます。朝晩の服用をしている人は医師に相談すれば、1日1回に減らしてもらえるケースが多い。これには飲み忘れや飲み違いを減らすメリットもあります」
便秘薬は刺激性のものを長期的に使用すると、難治性便秘に発展することがある。生活習慣を改善せずに、薬だけで対処しようとすると自ずと使用回数は増えてしまう。
水分摂取や食物繊維を取り入れた食事と適度な運動を心がければ、便秘薬の利用回数は減らせる。たかせクリニック理事長・高瀬義昌医師が指摘する。
「高齢者になると視力や聴力、認知機能が低下して服薬を自己管理することが難しくなります。『服薬アドヒアランスの低下』と言われる状態ですが、これを避けて薬漬けを解消するためにも、“服薬の回数を減らす”対策をすることが重要になります」
実際、今回の厚労省の指針は、服薬アドヒアランスの低下対策の要点として「用法の単純化」を挙げており、「作用時間の短い薬剤よりも長時間作用型の薬剤で服用回数を減らす」ことを勧めている。
※週刊ポスト2018年3月16日号