大メディアの幹部からテレビタレントまで、安倍晋三首相の会食相手はバラエティ豊富だが、最近の“お気に入り”は自民党の若手議員たちだという。総理大臣自ら、若手に議員としての心構えを説く──というと聞こえはいいが、その会食の“中身”を取材すると、看板政策の行き詰まりに苛立ちを隠しきれない首相のストレスのはけ口に使われているというお寒い実態が浮かび上がってきた。
最近首相は「裁量労働制」に関する国会答弁で厚労省のあまりにも杜撰なデータに苛立ちを隠しきれず、ストレスを感じていると指摘する声もある。自民党細田派のベテランはこう心配する。
「安倍さんはこれまで萩生田光一(幹事長代行)、世耕弘成(経産相)、加藤勝信(厚労相)ら気の許せる側近たちを官邸に置いていた。彼らは何か問題が起きると“総理、大丈夫です”“素晴らしい答弁でした”と励ますのがうまく、総理のストレスを緩和する精神安定剤の役割を果たしていた。
ところが、そうした側近たちが出世して大臣や党幹部になり、官邸から“卒業”してしまった。加藤厚労相に至っては捏造問題の対応で総理に“あいつは頼りにならない”といわれ、逆にストレスの種になっている」
そんな安倍首相にとって新たな精神安定剤になっているのが、自民党の「魔の3回生」との食事会だ。
この2月から首相は自民党1~3回生の若手議員を公邸に招いて懇親会をスタートさせた。当選1回の新人から順に公邸に招き、3回生との懇親会は2月13日から行なわれた。