〈世の中には3種類の嘘がある。『普通の嘘』、『大嘘』、そして『統計』だ〉──19世紀イギリスで首相を務めたベンジャミン・ディズレーリの言葉だ。根拠に乏しい理論ほど、統計が頻繁に用いられることを見抜いた至言であるが、この国にも“統計の皮を被った嘘”はあちこちにある。
例えば、大学新卒者の就職率は景気をはかるバロメーターの一つだが、文科省と厚労省が共同で行なった「大学等卒業者の就職状況調査」によると、就職率は「97.6%」(2017年卒)。しかし、同年度に文科省が単独で実施した「学校基本調査」の就職率は「74.7%」で、23ポイントもの差がある。
前者の分母(調査対象)が「就職希望者数」であるのに対し、後者は「全卒業者数」だからだ。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏がそのカラクリを明かす。
「『就職希望者』の条件にルールはなく、各大学に任されている。大学側は、内定が全く取れずに就活を諦めた学生を『就職希望者』から除外し、就職率を高く見せかけることもあるようです」
見栄えを良くしようとして作りあげた数字という指摘である。
※週刊ポスト2018年3月16日号