国際情報

農村で子供4人が中毒死してしまう悲劇に中国が泣いた

中国の格差は深刻な社会問題

 経済成長する中国でも、この事件は多くの人々の琴線に触れたのだという。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 中国では今でも貧困に関するニュースに事欠かない。

 多くの貧困地区での悲惨な話が伝えられる。人々は、爆買い旅行客が700万人も海外旅行に出かけているという現実の一方で、中国共産党自身がいまだ自国を「発展途上国」と位置付けていることを、あらためて感じるのである。

 昨年末に『澎湃新聞』が伝えたニュースは、そのなかでも人々の心に深く突き刺さる事件であった。

 事件が起きたのは12月24日。まさにクリスマスイブのことだった。

 場所は雲南省昆明市のちいさな村、青山村である。この村で、両親の留守中に暖炉で薪を燃やして暖をとった4人の児童が、全員中毒死してしまったというのだ。

 子供を一度に4人も失ってしまった陳才本さん夫妻は地元の農民である。自らが兄弟の少ないなかで育ったことで、たくさんの子供が欲しかった。子供は全部で5人。一番上の長男が少し離れていて20歳、その下に11歳、9歳、8歳、4歳と続いた。

 4歳の子供以外はみな地元の青山小学校に通っていた。

 この年齢構成からも分かるとおり、一人を育て終えてやっと少しの余裕ができたことで第2子、第3子と増やしたのだろう。4人の子はおそらく可愛い盛りだったはずだ。

 事件が起きた当日、両親は喧嘩をしたという事で警察に逮捕されてしまった長男の引き取りのために家を空けた。その際、子供たちに換気をすることをきちんと伝えないまま出かけてしまったという。

 中国の農村では、薪や石炭を焚いて暖房代わりにするのはごく当たり前の光景だ。大人がいれば何も問題ないが、子供だけで暖をとったことで事故が起きたのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

眞子さんと佳子さま(時事通信フォト)
《眞子さん出産発表の裏に“里帰りせず”の深い溝》秋篠宮夫妻と眞子さんをつないだ“佳子さんの姉妹愛”
NEWSポストセブン
「子供のころの夢はスーパーマンだった」前田投手(時事通信フォト)
《ワンオペ育児と旦那の世話に限界を…》米国残留の前田健太投手、別居中の元女子アナ妻が明かした“日本での新生活”
NEWSポストセブン
宮内庁は小室眞子さんの出産を発表した(時事通信フォト)
【宮内庁が発表】眞子さん出産で注目が集まる悠仁さま成年式「9月ならば小室圭さんとともに出席できる可能性が大いにある」と宮内庁関係者
NEWSポストセブン
若松次郎を演じる中島歩(左)は歴史上のある有名人の子孫にあたるという(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』ヒロインの“婚約者”を演じる中島歩は国木田独歩の玄孫 「中学と高校の国語教師の資格取得」に見える文豪の片鱗
週刊ポスト
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《第1子出産》“叱らない子育て”が育んだ小室圭さんと“プリンセス教育”を受けた眞子さんが築いていく“これからの教育方針”「佳代さんはトイレトレーニングもせず」
NEWSポストセブン
田中容疑者の“薬物性接待”に参加したと証言する元キャバクラ嬢でOLの女性Aさん
《27歳OLが告白》「ラリってるジジイの相手」「女性を切らすと大変なんだ…」レーサム創業者“薬漬け性接待”の参加者が明かした「高額報酬」と「異臭漂うホテル内」
週刊ポスト
「大宮おじ」「先生」こと飯田光仁容疑者(32)の素顔とは──(本人SNS)
〈今日は〇〇にゃんとキスしようかな〉32歳無職が逮捕 “大宮界隈”で少女への性的暴行疑い「大宮おじ」こと飯田光仁容疑者の“危険すぎる素顔”
NEWSポストセブン
明るいご学友に囲まれているという悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さまのご学友が心配する授業中の“下ネタ披露” 「俺、ヒサと一緒に授業受けてる時、普通に言っちゃってさぁ」と盛り上がり
週刊ポスト
ラウンドワンスタジアム千日前店で迷惑行為が発覚した(公式SNS、グラスの写真はイメージです/Xより)
「オェーッ!ペッペ!」30歳女性ライバーがグラスに放尿、嘔吐…ラウンドワンが「極めて悪質な迷惑行為」を報告も 女性ライバーは「汚いけど洗うからさ」逆ギレ狼藉
NEWSポストセブン
田中圭の“悪癖”に6年前から警告を発していた北川景子(時事通信フォト)
《永野芽郁との不倫報道で大打撃》北川景子が発していた田中圭への“警告メッセージ”、田中は「ガチのダメ出しじゃん」
週刊ポスト
TBS系連続ドラマ『キャスター』で共演していた2人(右・番組HPより)
《永野芽郁の二股疑惑報道》“嘘つかないで…”キム・ムジュンの意味深投稿に添付されていた一枚のワケあり写真「彼女の大好きなアニメキャラ」とファン指摘
NEWSポストセブン
2日間連続で同じブランドのイヤリングをお召しに(2025年5月20日・21日、撮影/JMPA)
《“完売”の人気ぶり》佳子さまが2日連続で着用された「5000円以下」美濃焼イヤリング  “眞子さんのセットアップ”と色を合わせる絶妙コーデも
NEWSポストセブン