中学・高校でグレた不良たちが授業を妨害する──。そんな光景は、実は減りつつあり、逆に増えているのが、小学校、しかも低学年での学級崩壊だ。
文科省の発表(昨年10月)によると、中学・高校では、「暴力行為」の発生件数がここ数年減少しているのに対し、小学校では急増。とくに低学年での増加が著しく、小学2年生では2006年度の238件から、2016年度で2584件と、実に10倍以上になっている。
小学2年生のいじめ認知件数は4万5868件と、小学1年生~高校3年生までのなかで最多。次いで小3、小1といずれも小学校の低学年に多いことがわかる。白梅学園大学教授で、学級崩壊に詳しい増田修治さんが解説する。
「小学校高学年や中学、高校の学級崩壊は、自立心の芽生えや、規則やルールへの反骨心、思春期特有の感情の起伏などから先生の言うことを聞かなくなって起きます。
一方、小学校低学年の学級崩壊はそれとはまったく違うメカニズムで起こります。原因は、児童たちの『先生にかまってほしい』という気持ちです。たとえば授業中、児童の1人がおしゃべりしたりふざけたりすると、先生はすぐにその子を注意します。すると、行儀よくしていた他の子が、“私も先生の言うことを聞かなければ、かまってもらえるんだ”と思ってしまう。先生への“反抗”ではなく、先生の気を引きたいという“甘え”が、結果的に学級崩壊に繋がっていきます」
学校や親だけではない。子供自身にも原因があることも、問題を複雑にしている。ADHD(注意欠如多動性障害)など、支援が必要な発達障害の子供が増えたことも理由の1つだと指摘する声もある。教員向けの多数の著書を持つ千葉県の公立小教師・城ヶ崎滋雄さんはこう言う。