厚労省のワーキンググループは2月21日、高齢者に適正に医薬品を使うための初の指針案をまとめた。指針案では処方による典型的な有害事象や原因薬剤を例示し、国が「減薬」を進める方向性が打ち出された。薬の服用においては15歳を過ぎれば一律で「成人」と扱われるが、代謝能力が落ちた高齢者も同様に扱ってよいのか、といった問題も今回の指針案には影響している。
例えば骨密度を高めて骨折のリスクを減らす骨粗鬆症薬であるビスホスホネートは、薬の効果よりもその弊害が指摘される。
「ビスホスホネートは空腹状態で服用した後に30~60分間は上体を起こしておく必要がある。服用してすぐ横になると薬の成分や胃酸が逆流して、吐き気や胃痛などの消化器症状の副作用も現われやすい」(長尾クリニック院長の長尾和宏医師)
ビスホスホネートの飲み薬はタイプにより1日1回、週1回、月1回など服用間隔が異なる。
「副作用や飲み間違いを避けるには、月1回タイプの服用が適している。そもそも骨粗鬆症は適度な運動とビタミンDが豊富なバランスの良い食事が基本となります」(同前)
一方で性急に服用回数を減らすべきではないのが睡眠薬だ。銀座レンガ通りクリニック院長の臼井幸治医師が解説する。
「長期服用したら耐性ができ、患者自ら別の睡眠薬を求めるケースもある。いきなり睡眠薬を減らすと不安やパニックに陥ることもあるので、睡眠衛生指導をしながら特に睡眠薬はじっくりと減薬することが大切です」
※週刊ポスト2018年3月16日号