藤井聡太六段(15)の著しい活躍により話題に事欠かない棋界で、今度は前代未聞の“珍事”が起きた。3月2日、佐藤天彦名人(30)への挑戦権を賭けたリーグ戦「順位戦A級」最終局の結果、6勝で6人が並び、史上最多人数でのプレーオフが決まった。
「名人戦はA級棋士(今期は11人)以外は挑戦のチャンスがない仕組みです。そのため、挑戦権とA級残留がかかった最終局は“将棋界の一番長い日”と呼ばれ、数々のドラマが生まれてきましたが、これほどの激戦になったことはない」(将棋ライター・松本博文氏)
問題は、他のタイトル戦などで“過密日程”なトップ棋士たちによる追加対局のスケジュールだ。調整は困難を極めた。最終局から2日後の3月4日、プレーオフ初戦の豊島将之八段(27)と久保利明王将(42)の対局が行なわれたが、この2人はその2日後にも王将戦第五局で対局している。
さらに、10日に行なわれた豊島八段と佐藤康光九段(48)の2回戦からは勝者によって、その後の日程が変わるという綱渡りに。
「たとえば3回戦の日程は、勝者が豊島八段だった場合は12日、佐藤九段だったら13日、という段取りにした。そうしないと他の対局と日程が重なってしまうのです」(日本将棋連盟広報課)