2019年4月30日、今上天皇が生前退位し、翌5月1日に、皇太子が新天皇に即位する。この慶事に際し、実施が確実視されるのが「恩赦(*)」だ。毎日新聞(2017年8月13日付)はすでに法務省が検討に入ったことを報じている。
【*/恩赦法で大赦、特赦、減刑、刑の執行免除、復権の5つが規定されている。国家的慶事などの際には、政令で恩赦の対象となる刑の種類などの要件を定め、実施される】
「過去の皇室関連の慶事の例を踏まえれば今回も恩赦は行なわれるでしょう。法務省所管の中央更生保護審査会が検討を行ないますが、対象者が誰になるかの審議過程ならびに審査基準は非公開で、厚いヴェールに包まれています」
そう語るのは、今年1月に『恩赦と死刑囚』を上梓したノンフィクション作家・斎藤充功氏だ。
恩赦は戦後12回実施され、そのうち5回が皇室関係の慶事のタイミングである。直近となる1993年の徳仁皇太子の成婚時には、1277人(うち7割が公職選挙法違反者)が対象となった。
実は過去に「死刑囚」がこうした恩赦の対象になったことがある。1993年のケースではなかったが、恩赦によって無期懲役に減刑され、仮釈放によって“生還”した死刑囚は確かに存在するのだ。
「恩赦には明文化された基準がなく、対象は時代とともに変化してきました。ひとつひとつの事例が詳細に公開されないのではっきりしないところが多いのですが、恩赦によって死刑から無期懲役に減刑になった死刑囚の数は14~24人と言われています」(斎藤氏)