大相撲では番付がすべて。給与、髷の形、着るものからなにからすべてが番付によって定められており、足元にも番付の差が現われる。
外出時、序ノ口・序二段の力士は下駄だが、三段目になるとエナメル製の雪駄を履くことができる。さらに十両に昇進すると、畳敷きの雪駄を履くことができる。
「サイズが大きいため、エナメル製の簡易なものでも5000円以上、畳敷きの本格的な雪駄になれば最低でも3万円はする」(若手親方)
足袋は幕下から着用可能。幕下は黒足袋のみ、十両以上になると白足袋を履ける。ちなみに厳しい部屋では伝統通り三段目昇進までは足袋を履くことが許されない。新入りは真冬でも浴衣か裏地のない着物1枚、素足に下駄で行動することになる。
十両昇進も嬉しいが、実は三段目昇進が忘れられないと語る力士は意外と多い。
「角界には“雪駄を履くまで頑張る”という言葉がある。三段目になると雪駄を履く許可が出る。多くの場合、親方がお祝いでエナメルの雪駄を買ってくれるのですが、嬉しくて、ほとんどの力士が抱いて寝るといいます」(元力士)
序ノ口・序二段には定員がないが、三段目(東西200人)に昇進するのは容易ではない。昇進すると「相撲指導適格者」の資格取得条件(在籍5年、20歳以上の三段目経験者)もクリアでき、将来指導者になる道筋が立つ。他にも初っ切りなどで大銀杏を結うことを許されるなど、ようやく力士としての片鱗が出始める。
「江戸の横綱より故郷の三段目」という言葉がある。今も昔も、三段目こそが力士として認められるようだ。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号