内視鏡より体への負担が少なく、複数のがんをカバーできる検査法が登場している。「アミノインデックスがんリスクスクリーニング」(AICS=味の素の登録商標)を利用すれば、膵臓がんをはじめ、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん、子宮がん、卵巣がんといった複数種のがんに罹患している可能性を一度に調べられる。開発者で、三井記念病院総合健診センター特任顧問の山門實氏が解説する。
「がんにかかると、それまで一定に保たれていた血液中のアミノ酸濃度が乱れることが最近の研究でわかってきました。AICSはそこに着目し、採血した5ccの血中に含まれるアミノ酸濃度を健康な人の数値と比較することで、どのがんに罹患している可能性があるかを評価します」
一度の採血のみで検査は終了、約2週間後に結果が判明する。可能性が低い方から「ランクA」「ランクB」「ランクC」の3段階で表示される。
「ランクCだった受診者には、実際にがんがあるのか、どれくらいの進行度かを測るために、CTなどの精密検査を受けていただきます」(同前)
2011年に医療機関への提供が始まり、2015年末時点でのべ約15万人が検査を受けた。現在は全国およそ1300施設で検査を受けられる。保険適用外で、1回あたり2万~3万円程度かかる。
受診者が増えている大きな理由は発見率の高さにある。三井記念病院総合健診センターでは、2011年9月から2015年12月までに5172件のAICSを実施したところ、ランクCから17件のがんが見つかった。がん検診で使われる「腫瘍マーカー」や「肺X線検査」よりも早期のがんを検知できるとされる。
「検診での発見率は0.33%で、人間ドック全国集計成績報告(2014年度)の0.26%を上回っています。他の画像検査や腫瘍マーカーとAICSの併用で、がんの発見率はより高まる。がん家系だと認識している人や、がんリスクの高い生活習慣の方は、AICSを受けてほしい」(同前)
※週刊ポスト2018年3月23・30日号