認知症検査は専門医による問診が一般的だが、難聴や体調不良など受診者の状態によって正しい結果が出ないことがある。また、症状が進行してからでないと診断が下せないなど、課題は少なくなかった。
認知症診断を一気に前進させたのが、2015年に実用化された「MCIスクリーニング検査」だ。採血(7ml)で「MCI(軽度認知障害)」を調べることができる。MCIは認知症の“前兆”といわれ、40%のMCI患者が5年以内に認知症を発症するとされる。開発者で、筑波大学医学医療系准教授の内田和彦氏がいう。
「アルツハイマー型認知症は、脳内に『アミロイドβ』というたんぱく質が蓄積することで発症するとされています。認知症やMCI患者は、その蓄積を抑制する『トランスサイレチン』など3つのたんぱく質の血中濃度が減っている。それを調べることで、MCIを患っているか判定できる。結果が出るまで2~3週間ほど。7割以上の確率でMCIかどうかがわかります」
同検査は認知症予防にも生かすことができる。
「昨年7月に発表された最新の研究では、認知症の35%は生活習慣を変えることで予防できるとしています」(同前)
現在、全国1515の医療機関や検診センターがこの検査を実施している。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号