「今春の訪日花見客は前年の6割増し」──中国のオンライン旅行予約サイト「ロバママ」がこんなデータを発表したことで、日本中の「花見の名所」が震撼しているという。
近年、中国人観光客の間で、日本の桜を見る「花見ツアー」が大ブームだ。しかし、そのマナーはあまり褒められたものではない。関東地方のある公園の管理者がため息を漏らす。
「去年は大変でした。枝を折って持ち帰ったり、そこら中にゴミを散らかしたり。枝で作った髪飾りを被っていた中国人女性には呆れましたね。日本人グループが場所取りしたところに陣取ったり、トイレを流さなかったりというトラブルもあった。
もちろん日本人にも不届き者はいるので、中国人ばかり問題にしたくないが、まさに“爆買い”ならぬ“爆花見”ですよ。本当に昨年の6割増しの中国人観光客が押し寄せたら──考えただけでもゾッとします」
大人数の来訪に備えて、すでに対策を講じたスポットもある。東京屈指の名所・上野公園の場合。
「中国の方に限らず、外国人の花見客は増えていますので注意喚起の横断幕や看板を掲示します。中国語・英語の2か国語で“桜は折らないで”“火気厳禁”“大音量はダメ”などと禁止事項を示す。トイレにも2か国語表示の説明書きを張りますし、同じ内容を印刷したポケットティッシュも配る予定です」(東京都建設局東部公園緑地事務所)
事態を重く見たのか、2年前からは中国大使館も公式サイト上に花見に関する注意喚起情報をアップしている。
日本の桜の美しさや花見文化が世界に知られるのは喜ばしいが、事前の“予習”は欠かさないでほしい。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号