大相撲中継をみていると、ときどき「支度部屋」での様子がレポートされることがある。支度部屋とは、力士が準備するための控え室。ここで化粧廻しや締め込みをつけるが、幕下以下は明け荷(身の回りの品を入れる籠)を置くことは許されない。関取になれば1個、横綱は綱を収納するため3個置ける。
本場所では東西に分けて設けられているが、2011年の八百長問題事件以降は力士の東西移動が禁止された。支度部屋への携帯電話の持ち込みと使用禁止も八百長防止策としてルール化されている。
土俵に向かった力士が待機するのは土俵下の溜。幕下以下は地面に直接座るが、関取になると座布団の使用が許される。
「十両は紫色の座布団。これは共用です。幕内以上になれば、自分専用の座布団が使えるようになります。座布団は後援者や同期生、付け人から贈られることが多く、四股名が染め抜かれている」(元力士)
関取は支度部屋でも座布団を使用。例えば石浦の座布団には「栄光に近道なし」の刺繍が施されている。
巡業では各地の体育館や市民ホールを使用するため、スペースの問題で支度部屋が東西に分かれていないことが多いが、横綱・大関には個室が用意されている。巡業での取組は本場所に比べて和気藹々。巡業はあくまでも興行という位置づけだ。
幕下は雑誌やテレビなどメディアの取材がNG。相撲協会広報部では「幕下以下の力士については養成員であって、個別の取材を認めていない」という見解だ。
ちなみにファンにサインできるのも関取以上と決められている(幕下以下でも“初っ切り”や“弓取り式”を行なう力士は可能な場合もある)。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号