「ゴメ~ン。お迎え頼める?」「こんな高そうなもの、悪いわね~」──つい口から出てしまうこんな言い方、実は相手をイヤ~な気持ちにさせているかもしれません。じゃあどう言えばよかったのだろうか? そこで、東京大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授の齋藤孝先生に語彙を増やすコツを聞いた。
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感動的なおいしさを人に伝えたい、映画の壮大さを伝えたい、道で会った犬のかわいさを伝えたい…そう思っても、「すごい」だけでは、どこに感動したのかという細かいニュアンスが伝えられませんよね。
しかもそれが固定化してしまうと「同じ言葉ばかりを使って、子供っぽい人だな」と相手にマイナスの印象を与えてしまう可能性すらあります。ぜひ一度、癖になっている多用言葉がないかチェックして、それを言い換える練習から始めてみてください。
お手本はいくらでもあります。聞き上手で知られる阿川佐和子さんや、どんな相手でも会話がスムーズに進むマツコ・デラックスさんの言い回しをメモしたり、本や新聞、ネットで表現をチェックする。そして、とにかく口に出して使ってみることです。
「きれい」や「おいしい」など、1つの感情を表現するにも、日本語には無数に語彙がある。そんな言葉は世界中探しても日本語だけです。使える語彙が増えるほど、自分の感情を豊かに表現できる。語彙力を身につければ、世界は今よりもっと彩り豊かなものになるはずです。
――ついつい使ってしまう「超」そして「頑張る」という言葉の、上手な言い換えを紹介する。
父は今年90になりますが、超元気です。
→父は今年90になりますが、いたって元気です。
事態は超深刻ですよ。
→事態は極めて深刻ですよ。
この芸人、超面白いね。
→この芸人、たまらなく面白いね。
あれから超育っちゃって…。
→あれから著しく育っちゃって…。
頑張ったのですが、うまくいきませんでした。
→手を尽くしたのですが、うまくいきませんでした。
状況は苦しいが、今が頑張りどきよ!
→状況は厳しいが、今が踏ん張りどきよ!
被災地復興のために頑張る。
→被災地復興のために尽力する。
荷が重いけど頑張ります。
→荷が重いけど精進します。
※女性セブン2018年3月29日・4月5日号