話す相手、話す場面によって、同じ言葉でも違った意味を持ったり、相手に誤解を与えてしまうことすらある。それはもちろん、親しき間柄であっても同じことだ。
そこで、東京大学教養学部を学科首席で卒業後、大学受験塾の講師となり、『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など多数の著書を持つ吉田裕子先生に、親族とコミュニケーションをとるさいの正しい言葉遣いを教えてもらった。
◆夫のご両親の家に呼ばれた。どうしても行きたくない
【1】ごめんなさい、忙しいので伺えません。
【2】あいにく、いま立て込んでおりまして、落ち着いたらぜひ伺います。
【3】申し訳ありませんが、今回は遠慮いたします。
誘ってくれた気持ちを傷付けてしまうのは野暮なこと。「あいにく」「せっかく」などの言葉を交えて、誘ってもらえたこと自体は嬉しいと伝えましょう。行けないとネガティブな面を強調するより、いつか行くという意思を伝えてポジティブに。正解は【2】。
◆姑からの長電話、いい加減切りたい時
【1】そろそろ失礼させていただきます。すみません。
【2】申し訳ないのですが、もう切らせていただけますか?
【3】恐れ入りますが、ちょっと来客のようで。
いちばん避けたいのは「電話が長いんだよ!」というクレームに聞こえてしまうこと。誰も傷付かない嘘をつくのも、1つの方法です。特に【2】のような言い方は長電話にうんざりしている雰囲気が出てしまっているのでNG。正解は【3】。
◆急な残業! 子供のお迎えを姑にお願いしたい
【1】本日残業になってしまったので、お願いします。
【2】すみませんが、残業で帰れないので、お迎えに行ってください。
【3】急なお願いで忍びないのですが、お迎えをお願いできますか。
「お願いします」「してください」という言い方は、少々押し付けがましく聞こえる恐れがあります。正解は【3】。どうしてもお願いせざるを得ないが、心苦しく感じている、という気持ちを込めましょう。「忍びない」は「~するのに耐えられない」という意味。
◆やたら家に来たがる義姉一家。断固阻止したい
【1】お恥ずかしながら散らかっていますので、片付いたらこちらからお声がけしますね。
【2】とてもお招きできるような状態ではないので、お越しにならない方が良いかと思います。
【3】申し訳ないのですがお越しいただくのは、ちょっとご遠慮いただきたいです。
「狭いから…」とやんわり断ったつもりが「気にしないわ!」と押し切られてしまった話をよく耳にします(苦笑)。その点からも、断固阻止したい場合は【2】だと弱いかもしれません。かと言って【3】はやや失礼。正解は【1】。近いうちにこちらから声をかけるという積極性を見せつつ、この場をしのぎましょう。攻撃は最大の防御です。
※女性セブン2018年3月29日・4月5日号