投資情報会社・フィスコ(担当・田代明美氏)が、株式市場の3月12日~3月16日の動きを振り返りつつ、3月19日~3月23日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は上昇。ただし、前週の米雇用統計を受けた週初の上昇の影響が大きく、その後は米中貿易摩擦への警戒感や森友スキャンダルを巡る国内政治リスクへの懸念が高まるなか、不安定な相場展開が続いた。2月の米雇用統計は、賃金増が抑制されながらも経済が好調を維持したことが示され、利上げペースを加速させるとの懸念が和らいだことが好感され、週末のNYダウは440ドル高となった。この流れを受けた週明けの日本株市場は買い優勢の展開となり、日経平均は一時21971.16円と22000円に迫る場面をみせた。
しかし、節目の22000円が射程に入ったものの、その後は米国務長官解任や貿易政策への不透明感に加えて、原油相場や米ハイテク株の下落が嫌気されたほか、森友スキャンダルといった国内政治リスク等が上値の重石となった。積極的な参加者が限られる中、先物主導のインデックス売買に振らされる展開が続き、ファーストリテや値がさのハイテク株に日経平均が振らされていた。
米国では良好な経済指標の発表が材料視される一方で、通商問題への不透明感が手掛けづらくさせている。今週はコーン国家経済会議(NEC)議長の後任に保守系の著名経済評論家ラリー・カドロー氏を起用することを明らかにした。通商政策で米政権の強硬姿勢が増す可能性があり、トランプ政権は「米国第一主義」を一段と推し進める陣容になりつつある。そのため貿易戦争への懸念が高まりやすく、相場の先行き不透明感が強まる。一方、国内でも森友スキャンダルが方向感を掴みづらくさせている。