中国の習近平国家主席はこれまで党・政府官吏の汚職などを取り締まる「反腐敗闘争」を推進してきたが、今後は「黒社会」と呼ばれる中国マフィアなどの反社会勢力の撲滅も併せて目指すことを明らかにした。黒社会の「保護傘(後ろ盾)」となっている警察幹部や地方の官吏もともに摘発する方針だ。
習近平指導部は昨年11月から2期目に入っており、今後5年間かけて、汚職を摘発する反腐敗闘争と連動させ、「掃黒除悪(黒社会の一掃と悪の排除)」を強力に推進し、民衆の支持を一層広げたいとの狙いが見え隠れしている。
中国国営新華社通信によると、習氏は北京で行われた中国共産党中央規律検査委員会の会議で「掃黒除悪を反腐敗と結び付け、闇の組織だけでなく背後にいる後ろ盾も捕まえないといけない」と檄を飛ばした。
これを受けて、党と政府は各地方政府に「黒社会と後ろ盾に厳罰を下す」と通知しており、主にポルノ、賭博、薬物、マルチ商法、誘拐に関係する組織が重点的な摘発対象となる。
党機関紙「人民日報」によると、すでに黒社会撲滅の取り締まりは各地で強化されており、今年1月からこれまでで、河南省では121の犯罪集団を摘発し1481人を拘束したほか、浙江省でも警官5000人を動員した集中取り締まりで、1200人あまりを拘束。陝西省では一斉取り締まりで1426を拘束し、不正資金約921万元(約1億5000万円)を差し押さえた。福建省でも1194人を拘束し不正資金約360万元(約6000万円)を差し押さえという。