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若者の「大丈夫ですか?」に67歳アナは暴力性感じる

言葉のプロが「大丈夫ですか?」の問題点を語る

 日本語の変化は日々起こるものではあるが、嫌なものは嫌だと声を上げるのは、言葉に関するプロであるフリーアナウンサー・梶原しげる氏(67歳)。同氏の熱い主張を聞こう。

 * * *
 若手社員でやたらと「大丈夫ですか?」って聞いてくる人がいますね。

 その社員の意図としては、“こちらは何もしなくていいですか?”“このほかに何か必要なことがありますか?”“不都合はありますか?”などなど、要するに“アーユーOK?”という意味ですよね。でもどんなシチュエーションでも使ってくるから、ニュアンスが汲み取れなくなってしまう。

 昔、マネージャーの運転する車に乗ってたら、別の車に突っ込まれる事故があったんですよ。乗っていた車の前側の側部が大破したけっこうな事故でしたが、突っ込んできた男は開口一番、「大丈夫ですか?」。マネージャーは「大丈夫じゃないです」と返していましたが(笑い)。車を大破させといて「大丈夫ですか?」はないだろうと、せめて「申し訳ありません」が先ですよ。

 でもたいがいの場合は「大丈夫ですか?」と聞かれると、腹の中では“大丈夫じゃないよ、この野郎”と思いながら「ええ、大丈夫です」と答えるほかない。だから、「大丈夫」という言葉は、実は暴力性を孕んでいるんです。

 上司が部下に「大丈夫か?」と聞いても、部下は「大丈夫じゃないです」って言えないですよ、怒られるから。それで「大丈夫」と返してきたから任せて、全然大丈夫じゃない結果になっても、それは「大丈夫」のニュアンスを読めなかった上司の責任ということでしょう。それで、また今度は部下が「大丈夫ですか?」って聞いたりして(笑い)。

 ビジネスの場では「大丈夫」という言葉は禁止したほうがいいかもしれません。

※週刊ポスト2018年3月23・30日号

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