1953年に浅利慶太氏や故・日下武史さんなど、10人の学生で結成された劇団四季は、今年、創立65周年を迎える。当初は資金も乏しく、俳優が自らチケットを手売りしたり、メンバーの伝手で借りた幼稚園の一室で園児用の小さな椅子を使って稽古を行ったりしていた。
劇団四季が世間に広く知られるようになったのは、1983年初演の『キャッツ』だ。東京・西新宿の空き地を利用した「キャッツ・シアター」というテント式劇場での公演というユニークな発想が観客に受けて空前のヒット。同作品は35年目を迎えた今なお上演が続く、上演回数1万回目前のロングラン公演となっている。演劇評論家の小山内伸さんが劇団四季の躍進について言う。
「ミュージカル界において、宝塚や東宝より後発の劇団四季は、『キャッツ』の1年間に及ぶ長期公演で広く名が知られ、名作『オペラ座の怪人』(1988年)、『ライオンキング』(1998年)の大ヒットで、名実とも“日本一の劇団”になりました。
音大声楽科出身者などオペラも歌えるような俳優を多数育てていて、歌唱力が極めて高いのが強みです。作品は基本的にオリジナル版と同一の演出・舞台美術で上演しており、本場ブロードウェイと同じ高水準の舞台を日本で見ることができるのです」
現在600人の俳優を抱え、スタッフを加えると1300人。年間3000回以上の公演を行い、300万人以上を動員している。
そんな劇団四季の中で、今最も“チケット入手困難”といわれているのが、東京で上演中の『アラジン』だ。
「舞台となる中東の市場や宮殿を色彩豊かに異国情緒たっぷりに表現しています。アラジンがジャスミン姫と魔法の絨毯で夜空を舞うシーンは音楽とともにロマンチックですし、ランプの魔人・ジーニーがマジックやショーを披露する、約8分間にもわたるビッグナンバーは圧巻」(小山内さん)
※女性セブン2018年3月29日・4月5日号