大相撲中継を見ていると気になるのが、「ひがぁ~し、きせの~さと~」という“力士紹介”。大相撲では、土俵上で独特の節回しにより力士の四股名を呼び上げられるが、それを行うのが呼出だ。裁着袴に足袋を履き、扇子を持つ。
「扇子を使うのは、声を出す際に土俵にツバが飛ぶことを防ぐため。色は白で、無地のものであると決まっています」(ある呼出)
四股名は基本的には一声で呼び上げられるが、三役以上と十両の最後の一番は二声での呼び上げとなる。実は呼び上げる順番も決まっていて、奇数の日が東から、偶数の日が西から。仕切りの制限時間(幕内4分)はこの呼び上げが終わった時点で、審判委員の時計係が計り始める。
呼出の定員は行司と同じ45人。相撲協会が採用し、各部屋に配属される。呼出にも番付があり、結びの一番のみ呼び上げる最高位の立呼出から最下位の序ノ口呼出まで9階級ある。立呼出の下には副立呼出がおり、番付表には十枚目呼出以上でないと表記されない。行司と異なり代々受け継がれる名跡はなく、下の名前しかない。昇格には勤続年数などの規定もあるが、「場内に響き渡る声量も昇進の基準になる」(協会関係者)。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号