個人情報保護法の制定以降、何かを聞いても様々な場所で「個人情報ですから……」と情報開示を拒否されることが多い。だが、こうした風潮はどんな業界でも当たり前のように受け入れられるべきことなのだろうか──。医師・石原結實氏(69歳)の熱い主張を聞こう。
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今の時代は、入院している友達や知り合いを御見舞に行きたいと思って病院に問い合わせても、「個人情報なのでお答えできません」とにべもない対応をされてしまいます。
私も知り合いが入院したときに病院に問い合わせたんですが、入院しているかどうかすら教えてくれないから、ちょっと頭にきました。一昔前まで何号室に入院しているかまで教えてくれたのに。
確かに私自身、医師なので、特定の患者さんについての問い合わせに「お答えできません」と対応せざるを得ない。これは内心では本当に心苦しく思っています。もちろん個人情報を利用して振り込め詐欺なんかを行なう悪い人たちがいるから規制せざるを得ないわけでしょうが、それにしても個人情報保護の風潮は行き過ぎていないか。せめて入院しているかどうかくらいは教えてあげてもいいのではないか。誰もそんな情報を悪用はしないでしょう。
病院以外でも、今は高校や大学の同窓会名簿の冊子が届かなくなりました。以前は同級生の住所や勤務先が記載された冊子が届いたので、「今あいつはここにいるのか」と知ることができたのですが、分からなくなって寂しい限りです。同窓会も連絡先を知っている人を辿っていかなければならず、幹事は大変ですよ。
結局、病院も学校ももし何かあったときの責任が取れないということなんでしょうが、全く不便な世の中になりましたね。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号