別掲図はMLBで最も重視される分析手法・セイバーメトリクスを使い、ジャーナリスト・広尾晃氏が作成したプロ野球12球団の戦力分布だ。
「横軸がチームの得点力を示すRC27(*1)、縦軸が失点率(*2)です。右上のチームほど得点力が高く、失点率が少なくて戦力が充実している。パでは西武が打撃偏重、SBはバランスの取れた編成とわかる。右上ゾーンのセパ各3球団がCS進出の有力候補です」(広尾氏)
【*1:RC27/ある選手1人で構成された打線で試合をした場合、平均何点取れるかを算出した指標。図ではチーム構成員の平均値を算出して示した)
【*2:失点率/自責点をもとにする防御率ではなく、総失点をもとに算出。自責点はエラーの後の失点などが除外されるため「失点率のほうがよりチームの守備力を示すのに適当」(広尾氏)】
ただ、去年はセで戦力3番手の巨人がDeNAにCS進出を攫われた。
「残る要素が“監督力”。それを測る指標に『ピタゴラス勝率(*3)と実際の勝率の差異』がある。実際の勝率のほうがよければ監督の力が高い。DeNAのラミレス監督はプラスで、巨人の高橋由伸監督はマイナスでした」
【*3:ピタゴラス勝率/シーズンの総得点と総失点から勝率を予測した数値。「実際の勝率がピタゴラス勝率より低ければ、“取った得点のわりに勝てなかった”ということで監督の采配能力が低いと考えられる」(広尾氏)】
この指標ではパの監督力1位がSB・工藤公康監督。セ1位が中日・森繁和監督で広島・緒方孝市監督と巨人・高橋監督が最も低かった。つまりパはSBが盤石、セは番狂わせの可能性──データはそう指し示している。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号