タニタといえば、創業が1923年と95年の歴史を持ち、体重計から万歩計、電子体温計や血圧計、塩分計など健康に関わる機器メーカーのイメージが強く、それ以外では、たとえばスーパーの味噌コーナーなどにタニタの減塩味噌などが置かれているのはよく知られている。
そのタニタが、多角化の目玉として外食ビジネスの「タニタ食堂」1号店を東京・丸の内にオープンしたのは2012年のことだった。
同社の谷田千里社長の言葉を借りれば、「総合健康企業として、食のソリューションも手がけていく」ということになるのだが、主に健康に気遣いする中高年層をターゲットにしたタニタ食堂は、開業当初こそ話題になったものの、事業開始から今年で6年経過して、全国での展開店舗数は30店と多くはない。これは、タニタ食堂が当初の思惑通りには推移していない表れといえるだろう。
カロリーや糖質、塩分や油分などに気を配ったタニタ食堂の食事だと、味気ない食後感が残るのも、また事実だからだ。若年層から見れば、よほど健康に気を遣う人たちは別として、「健康オタク的なおじさんやおばさんが行くのがタニタ食堂」といったイメージがあったかもしれない。
そこで、もっとカジュアルな雰囲気で、かつターゲット層も若年層まで広げていくという狙いから、タニタでは新たに「タニタカフェ」(新潟県長岡市での試験的店舗はこれまでも営業)の事業展開に踏み切る。
まず、旗艦店としてこの5月、東京・有楽町に第1号店をオープンさせ、プレオープン店として新宿にも期間限定でテイクアウト専門店を3月23日に出す予定だという。タニタ食堂取締役営業本部長の浅尾祐輔氏は、3月上旬に行われた発表会の席でこう意気込んでいた。
「タニタ食堂同様、タニタカフェは大きなチャレンジになりますが、2022年度にはフランチャイズ方式で100店舗までもっていきたい」
前述したように、タニタ食堂が6年で30店とスローペースなことに照らせば、かなり意欲的な出店計画といえるが、今回若年層までターゲットを広げたことで、果たして思惑通りにいくのかどうか、まずは有楽町店の滑り出しに注目だ。
今回、タニタは楽天ラグリとコラボレーションし、オーガニック野菜サラダや米麺、もち麦のサラダボウル、噛むスムージーなども売りにしているが、より注目商材といえるのが「コーヒーにもこだわった」(前出の浅尾氏)と自信を見せた、「タニタコーヒー プレミアムブレンド」である。