脳梗塞は、血管が詰まって脳細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、脳細胞が壊死することで起こる。だが、壊死した部分が小さいうちは症状が現われない。
壊死部分が1cmに満たない段階を「隠れ脳梗塞(無症状性脳梗塞)」と呼ぶ。隠れ脳梗塞がある人は、ない人に比べてその後7年間で脳梗塞を発症するリスクが約10倍も高くなるという。これまではMRIを受けた際に偶然見つかるケースがほとんどだった。
そんな中、世界で初めて血液検査による隠れ脳梗塞の検知方法を発見し、「脳梗塞リスクマーカー」として実用化したのが、アミンファーマ研究所社長で千葉大学名誉教授の五十嵐一衛氏である。
「脳の細胞が僅かでも壊死すると、アクロレイン、インターロイキン6、CRPという3つの物質が血中に増えることを発見しました。これを応用し、血液検査でこの3つの物質を測定することでリスクを判定する。発見率は85%です」
CTやMRIでの隠れ脳梗塞の発見率は意外と低く、脳ドックでさえ平均で20.4%との研究結果がある。それと比べると、脳梗塞リスクマーカーの発見率は約4倍だ。全国約200か所で受けられ、費用は保険適用外で8000~1万円程度。
「もし『隠れ脳梗塞の疑いが強い』と診断されたとしても、適度な運動や高血圧に注意するなど生活習慣の改善を心がけることで、隠れ脳梗塞が脳梗塞に発展するリスクは軽減できます。50歳以上の人、身内に脳梗塞を発症した人がいる人、高血圧症のある人、そしてお酒に弱い人は脳梗塞になりやすいといわれています」(五十嵐氏)
※週刊ポスト2018年3月23・30日号