男女の密会場所として、身をひそめるようにチェックインする──。そんな淫靡な雰囲気の漂う「ラブホテル」がすっかり様変わりしている。近著に『ホテル評論家が自腹で泊まる! 最強のホテル100』(イースト・プレス刊)があるホテル評論家の瀧澤信秋氏が、「レジャーホテル」の呼称で進化するラブホテルの最新事情を報告する。
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ホテルには様々な業態がある。シティホテルやビジネスホテルは定番のカテゴリーであるし、昨今はカプセルホテルも注目を集めている。共通するのは宿泊施設という点であるが、少し異色なのがラブホテル。近年ではレジャーホテルという呼称が一般的で、代表的な業界団体も日本レジャーホテル協会といった名称だ。
シティホテルであろうがレジャーホテルであろうが、宿泊を業として営むためには旅館業法の許可が必要。同法では、ホテル/旅館/簡易宿所(カプセルホテルなど)/下宿と区分されており、レジャーホテルはホテルや旅館カテゴリーとして申請される。
加えて、自動精算機や玄関等の遮蔽、回転・振動ベッド、特定用途の鏡といったレジャーホテル特有の設備を設ける場合には風営法(風俗営業法)の届け出も必要だ。店舗型性風俗特殊営業第4号営業に該当、通称「4号営業ホテル」といわれる。
現在、4号営業の新規許可取得はほぼ不可能といわれており、4号営業ホテルを営もうとする場合、ホテルを所有する法人売買等の形でオーナーチェンジが行われる。
他方、立地や料金システムなど一見レジャーホテルだが、スタッフが堂々と立っているフロントがあり、鍵の受け渡しや料金精算など対面で行う施設が見受けられる。風営法で規定されるような設備はなく、こうしたホテルは風営法・政令等の規定から外れ、詳述は避けるが法令改正の変遷から「新法営業ホテル」といわれる。
前置きが長くなったが、インバウンド需要を主因とする一般ホテルの活況、コンセプト化が伝えられて久しい中、レジャーホテルの進化も目を見張るものがある。そのひとつが、レジャーホテルの一般客取り込みだ。ホテル不足の受け皿になるべく、有名ホテル予約サイトもレジャーホテルの取り扱いをスタートさせ話題になった。
新法ホテルならばより一般ホテルに近いといえるが、レジャーホテルの進化という点に着目した場合、4号、新法に限らず注目のホテルは多い。このところのレジャーホテルでブームのコンセプトといえるのが、リゾート感を打ち出すレジャーホテルだ。
レジャーホテル業界で高名な有名店といわれるのが「ウォーターホテルS国立」。筆者の新著『最強のホテル100』でも紹介しているが、ホテルとしてのクオリティは、インルームダイニングも含め外資系デラックスホテルにも匹敵するレベルだ。
リゾート感といえば「現代楽園」も人気のホテル。レジャーホテル特有の余計な装飾やデコラティブなイメージを廃し、シンプルかつ質感の高い空間に仕上がっている。同ブランドは大和や町田にも展開するが、最新のフラッグシップ店である高崎店は特に人気。
レジャーホテルといえば、“はめ殺しの窓”など外部と遮蔽した暗いイメージもあるが、前述のウォーターホテルS国立も含め、オープンエアスペースを多用し開放感抜群だ。
一方、レジャーホテルならではの突出したコンセプトを打ち出すホテルもある。