藤井聡太六段(15才)や平昌五輪のメダリストなど、活躍を見せる若者たちに目が留まる。「彼らの才能を伸ばしたのは親の力が大きい」と、脳科学者で小児科専門医の加藤俊徳さんは分析する。わが子の才能を開花させた、その秘訣とは何か?
羽生結弦選手(23才)が、小学生の頃から毎日、練習日誌をつけていたのは有名な話。練習で気になったことや思いついたことをノートに書き、調子が悪い時には、過去に書いた言葉を読み返し、自らを奮い立たせていたという。この習慣が功を奏したのは手書きのノートに書いたことだと加藤さんは分析する。
「パソコンやスマホの画面は、文字を追うだけで記憶に結びつきにくい。しかし、手書きのノートは開いた瞬間、文字を読まなくても、何が書かれているかなんとなくわかります。手で書き、めくる行為は記憶力を高め、冷静に過去を振り返る行為につながるのです」
ノートはきれいに書かなくても、メモ書きや殴り書きでOK。日記をつける場合は、3行だけでもよいので習慣づけよう。運動で汗をかいた経験がないと、粘り強さは育たない。
「アスリートが、どんなにつらい練習でも頑張れるのは、その先に達成感が得られるからです。面倒くさい、つらいからといって、途中で投げ出してばかりいると、すべて中途半端にしかできない人間になってしまいます。
とはいえ、必ずしも体を動かす=スポーツではありません。例えばダンス。好きなアイドルの動きをよく見て、耳から音の情報をインプットすることで、脳の発育にもなり、体全体の筋力も発達します」
体を動かすことの楽しさを覚えることが大切だ。数々の記録を打ち立て、常に最年少記録を更新し続ける将棋棋士の藤井六段。
彼の過去の発言や、母・裕子さん(47才)のインタビューを見ると、彼は目的地までの時間を1分単位で割り出すという。そんな数字に対するこだわりが、類まれな集中力と記憶力を高めたと、加藤さんは言う。
「数字を細かく割り出すのは、記憶力を高めるのに効果があります。駅まで歩いて約10分ではなく、“12分30秒かかる”などと細かな数字を予測し、ストップウオッチで計りながら歩くと、体で時間の感覚がつかめます。時間通り着いたり、少し早く到着すれば達成感も感じられ、脳も活性化されますよ」
子供の才能を伸ばすには、普段から、親がいい影響を与えることが大切だ。まずは、子供の話をじっくり聞くことから始めてみよう。
※女性セブン2018年3月29日・4月5日号