見出しで忖度度合いが分かる
安倍政権発足から6年、大新聞は「親安倍」「反安倍」カラーで分かれて相互批判を繰り広げてきたが、森友学園問題における決済文書報道は、「用語」がはっきりした“リトマス試験紙”になった。財務省が「複数の決裁文書の存在」を認めた3月12日以降、森友学園への国有地売却に関する決裁文書は「書き換え」か「改竄」かで、新聞各紙の表現は真っ二つに割れている。
朝日・毎日が紙面の見出しに「改竄」との表現を用いる一方で、読売と日経は「書き換え」という言葉を頑なに使用し続けている。元時事通信・政治部記者で政治評論家の屋山太郎氏が解説する。
「どちらも法律用語ではありませんが、改竄は恣意的に不正を働いた時に使われることが多く、メディアが刑事訴追の可能性があると睨んだ時に使われます。対して書き換えには悪意のない“修正”という意味が含まれ、罪に当たる行為とのニュアンスは格段に薄れる」
つまり、読売や日経は“書き換え”が刑事罰に相当するほどのものでないと判断し、朝日と毎日は“犯罪行為”と認定したということか。
「安倍政権に対する“アンチ”か“シンパ”かで表現が分かれているのは偶然とは思えない。一連の書き換え行為の背景に佐川(宣寿)氏や財務省の忖度があったのは間違いないが、メディアにも政権への忖度はあり、それが見出しの表現で可視化された」(同前)