「安倍首相も麻生氏も(佐川宣寿氏の国税庁長官起用を)適材適所と言い切った。これには呆れたね。判断力がおかしくなっているのではないか」
そう痛烈に批判したのは小泉純一郎・元首相だ。安倍首相の派閥(清和会=細田派)の先輩である福田康夫・元首相も各種メディアで首相のやり方に異を唱えている。
本誌・週刊ポスト前号は文書改竄を財務省が認めた翌日(3月12日)の発売だったが、その時点で「安倍3選支持勢力」が党内議員票(405票)の過半数を割り込み、細田派やお友達議員、安倍チルドレンらの140~150票にとどまる可能性があるとレポートした。沈没船からの集団脱走は急加速している。
「選挙基盤が脆い1~3回生の議員は、“次の総裁”の神輿を担がなければ自分のバッジを守れない。3選ムードがなくなった今、誰が自分の救命ボートになってくれるかを必死に見定めている」(3回生議員)
首相を支える立場の細田派でも、ついに似たような空気が漂う。細田派議員は顔を引きつらせた。
「総理のお友達優遇で我が世の春だったが、その反動で党内の怨嗟を浴びている。清和会が政権を手放すことになれば報復人事は避けられない。こうなったら、“我が派には(清和会出身の)小泉元総理や福田元総理のような考え方もある”という姿勢を見せたほうが得策かもしれない」
政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。
「細田派が一枚岩にならない事態になれば、安倍氏の個人票はせいぜい数十票で、石破氏や岸田氏、あるいは別の候補を下回る。現職の総理総裁が総裁選で1位になれなければ不信任と同じ。自ら降りるという結末も現実味を帯びてくる」
※週刊ポスト2018年4月6日号