ちょうど1年前、一人の女性詐欺師が逮捕された。27億円とも報じられた被害総額の大きさ以上に注目を集めたのは、60代にして、“聖子ちゃんカット”“太腿や二の腕を大胆に露出したファッション”というその風貌だった。判決を目前に控えた“つなぎ融資の女王”こと山辺節子被告(63)が初めて、その数奇な生涯について語った。小さいときから男性に助けられて生きてきたこと、19歳で結婚し一男一女に恵まれたものの30歳を前に離婚したこと、熊本市内で高級スナックを出店しママになったこと──そして、お金が回らず自己破産したときには51歳だった。
その後、選挙のウグイス嬢やイベントの司会で生活費を工面するようになったものの、派手な生活は止められず。ついにはヤミ金にも手を出すようになったという。
「2011年秋、ヤミ金の支払いが限界を迎えました。しかし、知人からお金を借りることはプライドが許しません。私は知人の1人に“お金を貸して”と言うかわりに“30万円投資してみない?”と言ってしまったのです」
“つなぎ融資の女王”が誕生した瞬間だった。
架空の投資話は元金完全保証で20%の配当をつけ、10回に分けて戻すというもの。次々と出資者を募りながら、集めたカネを配当に回す“自転車操業”だったが、当初は配当を遅れさせることもなく、出資者は増え続けた。2年もすると、「いったい何人の人が参加して、全体のお金がどうなっているのか全くわからない状態になった」というのである。
山辺被告は今まで以上の放蕩生活を送るようになる。高級車、宝石はもとより、装飾品としての“男”を求めるようになっていった。不動産事業に乗り出そうとフィリピンに渡った際は、ホストクラブで30代のホストに一目惚れする。