ちょうど1年前、逃亡先のタイで逮捕された山辺節子被告(63)は、松田聖子風のヘアスタイルに、両肩を露わにした白いブラウス、生足にショートパンツという出で立ちで、自身の年齢を38歳と偽り、30代現地男性と同棲生活を送っていた。熊本市にある京町拘置支所で彼女は4回にわたって本誌・週刊ポストの取材に応じ、計120分間、謎に包まれた半生を明かした。幼少時から結婚、離婚、高級スナックのママとしての派手な生活、自己破産したのに“つなぎ融資の女王”を始め、2015年9月、つなぎ融資がついに破綻する。山辺被告は還暦を迎えていた。
「投資が架空のものだと気づいた人たちが私のところにお金を持ってこなくなったのです。入ってくるお金がないから配当に回すお金もない。精神的に追い詰められて……知り合いに頼んで、匿ってもらいました」
潜伏生活はストレスの多い日々だった。そこで頼った男性がいたという。
「九州の建設会社社長Aさんです。あの人ならなんとかしてくれると思い、電話をかけると“すぐに来なさい”と言ってくれたんです」
電話から数日のうちに山辺被告は指定された場所を訪れ、隠遁生活を始める。だが、そこでの生活も1週間ほどで飽きてくる。
「行き詰まった現実から逃げたいという思いもありました。そんなときに思い出したのが、華やかな生活を送っていた数年前に一度だけ会ったことのある歌舞伎町のホストBのことでした。いちど思い出したら、いてもたってもいられなくなり、Aさんに“東京でどうしても進めなければならない仕事がある”と説明したところ、500万円の現金を渡してくれました。それを持ってBに会いに行ったんです」