3月下旬の早朝8時、森友学園問題に関連し疑惑の渦中にある財務省には、今日も多くの役人が吸い込まれていく。その表情は一様に厳しく、本誌・女性セブンの問いかけに応じる者はいない。
森友学園の国有地売却に絡み、財務省による公文書の改ざんが発覚して2週間あまり。この間、書き換え前の文書に安倍昭恵さん(55才)の名前があったこと、自殺した近畿財務局職員の残したメモに「書き換えをさせられた」との内容が書かれていたことなどが判明し、騒動が収まる気配はなく、連日ニュースやワイドショーでも取り上げられている。
そのニュースには、さまざまな人物や省庁、内部部局が登場しているが、誰がどんな立場なのか、どの部局が権力を持っているのかなど、いまいちよくわからない。
そもそも財務省とはどんな組織なのか。なぜ事件は起き、その病巣はどこにあるのか。財務省の知られざる構造を“解体”する。
財務省とは、主に国民から徴収した税金を、各省庁や地方自治体に予算として配分する国の行政機関。国の財布を握っていることから、霞が関のトップに君臨する“最強官庁”と呼ばれる。
6つの内部部局を持つ本省と、出先機関として全国に9つある財務局、外局として国税庁を有する巨大組織である。森友問題でクローズアップされた「理財局」は、年金の運用や国の借金にあたる国債の発行、国有財産の管理などを行っている。
ただ、今回の場合、理財局が直接森友学園側とやりとりをしたわけではなく、交渉や契約は理財局から委託を受けた出先機関である近畿財務局が担当した。現役の財務省幹部が話す。
「報道では、理財局が“諸悪の根源”のようにいわれていますが、彼らは省内では所謂“中堅”の位置。また、担当した近畿財務局も、理財局の下部組織ではなく本省のさまざまな仕事を委任されて行う独立した組織。どちらも権限は大きくない」
同幹部によると、財務省内には部局ごとに厳然たるヒエラルキーがあるという。なかでも頂点に君臨するのが、予算編成を行う主計局だ。政治評論家の有馬晴海氏が解説する。
「主計局は各省庁や地方自治体への予算配分を決めているため、他の局とは桁違いの権限を持っています。他の省庁の局長クラスが頭を下げて来るのに、主計官(課長相当)などの格下が対応します」
元財務省キャリア官僚でニューヨーク州弁護士の山口真由さんもこう語る。
「私が官僚だった時にも、予算の折衝の時期になると主計局の廊下で、各省が待機するという光景が当たり前でした」
他の省庁は、財務省には頭が上がらない。ゆえに過去には、官僚が官僚を接待する「官官接待」が問題になった。1998年に発覚した「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」はその典型で、顧客名簿には、財務官僚の名がズラリと連なっていた。
※女性セブン2018年4月12日号