天皇陛下の傘寿を祝って始まった皇居・乾通りの一般公開(3月24日~4月1日)が5年目を迎えた。今年も満開のソメイヨシノを一目見ようと、連日長蛇の列だ。
多くの人は、庭園・皇居東御苑にも足を運ぶ。その東御苑の中心から少し北に寄った場所に、一風変わった建物がある。
『桃華楽堂(とうかがくどう)』といい、1966年、香淳皇后の還暦を祝って建設された200人収容の音楽堂だ。キンポウゲ科テッセンの花をかたどった屋根と、八面体の壁に描かれた大きく羽ばたこうとする鳥が、荘厳な雰囲気を醸し出す。周囲に咲き乱れる満開の桜の花は、春の訪れを告げていた。
3月20日、その場所で毎年恒例の「音楽大学卒業生演奏会」が開かれた。東京芸大など5つの大学の卒業生によるピアノやヴァイオリンの音色に、皇后美智子さまや皇太子妃雅子さま、秋篠宮ご夫妻らが耳を傾けられた。
「演奏会は香淳皇后の発案で1971年にスタートし、その後、美智子さまに引き継がれた“皇后の公務”です。これまで、雅子さまも皇太子さまとご一緒に臨席されてきましたが、今回は皇太子さまが『世界水フォーラム』のためブラジルを訪問中。雅子さまおひとりでは出席されないのではないかという不安の声も聞かれましたが、お元気そうな様子でした」(皇室記者)
皇族方が会場に姿を見せられたのは午後3時半過ぎ。美智子さまを先頭に入場されると、観客から大きな拍手がわき起こった。
「美智子さまの右側に雅子さまが着席されました。座られるとすぐ、美智子さまは雅子さまに話しかけられ、それに雅子さまは笑顔で返されていました。これまで、美智子さまの前ではどうしても緊張の色が拭えなかった雅子さまでしたが、その日は微塵も感じさせないリラックスした表情を浮かべられていました」(前出・皇室記者)
対照的だったのは、美智子さまの左側に、秋篠宮さまを挟んで着席された紀子さまだった。
「1時間ほどの音楽会で、曲が終わるごとに、美智子さまは雅子さまや秋篠宮ご夫妻に話しかけられていました。ですが紀子さまだけは、美智子さまの問いかけにうまく反応できていないというか、視線を逸らそうとされていたように見えたのです」(前出・皇室記者)
紀子さまの憂鬱の端緒は、眞子さまと小室圭さんの結婚に浮かび上がったさまざまな問題であることは明白だろう。
◆自由恋愛が皇室を揺るがした
「初孫である眞子さまの結婚の行く末を、美智子さまは大変不安視されているそうです。そんな負担を強いてしまったことに、紀子さまは“合わせる顔がない”と、バツの悪さを感じていらっしゃるようです」(宮内庁関係者)
白いアンサンブル姿で演奏会を鑑賞された美智子さまに色調を重ねられるように、雅子さまはオフホワイトのジャケットにスカート姿だった。一方、紀子さまは灰色がかったスーツ姿。色味の差に、心情の一線が浮かび上がっているようだった。
この3月、小室さんは籍を置いていた一橋大学大学院での課程を終えたという。これで晴れて「学生」という身分ではなくなったわけだが、懸案事項である「経済的安定」の見通しは立っていない。
「小室さんの母・佳代さんが元婚約者との間に抱える金銭トラブルを解決するにも、眞子さまとの結婚後の生活基盤をしっかりとするためにも、現在の年収250万円前後のパラリーガルという働き方では心許ない面があります。宮内庁側が仕事を斡旋するといった案も検討されたようですが、そんなことをすれば世間の逆風はさらに強くなる。しかも、当の小室さん自身が今の働き方で充分と考えているフシもあるそうです」(前出・宮内庁関係者)
眞子さまの自由恋愛が皇室全体を揺るがしている状況にあって、これまでお子さまがたの自由意思に委ねる教育方針を採られてきた紀子さまが、美智子さまに対して恐縮するのは容易に想像できる。
だが、紀子さまはまた別の懸念も感じ取られているようだ。皇室ジャーナリストが続ける。
「女性皇族の結婚の難しさが浮き彫りになったと同時に、『女性宮家創設』の議論が暗礁に乗り上げることは避けられないでしょう。もし女性宮家を創設するとなった場合、女性皇族の結婚相手の男性をどう取り扱うかは議論の余地があるにせよ、完全な民間人というわけにもいかない。ですが、『準皇族』のようにしようにも、将来“小室さんのようにトラブルを抱えた男性だったらどうするんだ”というような声があがるかもしれません。
皇室活動の安定的な継続を念頭に置いた女性宮家は、天皇陛下と美智子さまの悲願ともいわれてきました。ですが、眞子さまの結婚を取り巻く騒動が、女性宮家創設自体を根底から実現不可能なものにしかねないわけですから、紀子さまが美智子さまに対して気まずい思いを抱えられることは当然でしょう」
いまだに紀子さまと眞子さまの間には不穏な空気が流れ、溝は深まり続けているという。
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2018年4月12日号