パンダやヒヨコなどかわいい動物の中は…おじさん? 軽快なメロディーに乗って着ぐるみの動物からおじさんがひょっこり顔を出す求人情報サイト『バイトル』や、アンタッチャブルの山崎弘也がマキバオーの着ぐるみに入って登場する『オッズパーク』など、近頃なにかと目につく着ぐるみCM。愛らしくインパクトがあるその姿は、なぜか頭に残る。
着ぐるみのキャラクターといえば、昔から教育テレビや遊園地などで大活躍し、子供を喜ばせる“鉄板”。それが今や、昨今のゆるキャラブームで大人にも人気が高まり、着ぐるみキャラは全国各地で引っ張りだこだ。
一方、昨年には、テーマパークで着ぐるみに入り働く女性が腕に痛みを訴え、労災認定を受けていたことが報道され、改めて“中の人”の重労働ぶりが注目され、話題になった。
ひと口に、着ぐるみといってもルックスもサイズも素材も多種多様。常に注目されるのは、“中の人”のことだが、それと同時に仕組みや動きやすさも気になるところ。構造は一体どうなっているのか、どのように進化しているのか、どうやって動いているのか?
“禁断の着ぐるみの中”を探るべく、直撃したのは着ぐるみ製作とイベントを手がけて40年の老舗企業・リップ。入社以来25年間着ぐるみ製作に情熱を注ぐ製作部長の伊藤歩さんと、製作に携わりつつキャラクターインストラクターでもあり、さらに「中の人」でもある上田欣彦さんの同期コンビが、知られざる舞台裏を明かしてくれた。
◆着ぐるみには「目」が付いていなかった!?
ひと昔前までは着ぐるみの動きといえば、どこかたどたどしかったもの。それが今では、ジャンプも回転もダッシュも自由自在。これには、ある重要な進化があった。
伊藤:実は25年前の着ぐるみは目が見えていなかったんです。口の部分にしか穴がなくて、そこからしか外が見えなかった。球団マスコットは当時からその状態でバク転などアクロバティックなパフォーマンスをしていたんですから、すごいですよ。
昔は、中からは外が見えるけれど、外からは中が透けない、そんな目となる素材がなかなかなかった。今は軽くて安価なアクリルの素材があるので、表面がスモーク色のものを目として入れていることが多いです。運動量の多いキャラの目は編目状にして、吐息で曇らないようにする工夫もしています。