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迷惑メール業者にあえて接触 その古典的な手口と狙いとは

有名人からではと錯覚させる迷惑メール

 無差別に大量にバラかまかれる迷惑メールは、その存在が有名になりすぎたこともあって、騙される人も少なくなってきた。とはいえ、未だに有名人であるかのように装った迷惑メールがやってくることがある。ライターの森鷹久氏が、最新の迷惑メールに返信し、迷惑メール業者との接触にチャレンジした。

 * * *
「この前はごめんネ! 洋介さんや菜々緒がいたからあまり多くは話せなかったけど、次のドラマの打ち合わせも兼ねて、一緒にメシでもどうかな? 2018.1.15 拓哉」

 筆者のスマホに、今時珍しく「ショートメール」で送られてきたメッセージ。勘の鋭い読者であれば、これが迷惑メールであり、かつ、ある人物になりすまして送られている、ということにすぐ気がつくはずだ。上記のメールは以下のような「設定」で送られていると類推できる。カッコ内は筆者の注釈だ。

「この前はごめんね!(放映中のドラマ共演者である江口)洋介さんや(同じく共演者であるモデルの)菜々緒がいたからあまり多くは話せなかったけど、次のドラマの打ち合わせも兼ねて、一緒にメシでもどう? 2018.1.15(元SMAPの木村)拓哉」

 ズバリのフルネームで書かないところがミソであり、メール受信者に「もしかしてキムタクのメール誤送信?」なんて勘違いさせることを目的とした、見紛うことなき、そして超低レベルの純然たる「迷惑メール」だ。ちなみに2018年1月15日は、テレビ朝日系のドラマ「BG~身辺警護人~」の制作発表会見が行われた日であり、同ドラマには江口洋介、菜々緒といったキャストが出演し、主演は元SMAPの木村拓哉だ。

 まさに「キムタク」からのメールを装ったものに違いないが、きょうびこんな迷惑メールに返信をする人がいるのか、甚だ疑問ではある。また、誰がどんな目的で送っているのか……。男性である筆者だが、この「自称キムタク」からのメールに女性を装い、返信をしてみた。以下、やりとりの概要だ。

──あれ? 人違いじゃないですか? ていうかどなたですか?
「忘れちゃったかな? 拓哉です。打ち合わせで連絡先交換したよね?」
──どちらの拓哉さんですか? もしかして木村さん?
「本当に忘れちゃったのかな(笑)。メシでもどうかな?」
──えー、キムタクさんですか(ハート)。超やばい、ウケる
「あれ、本当に違ったのかな? でも面白そうな子だね」
──キムタクさん、私とご飯行ってくれるの? 大ファンなんです
「何かの運命かもね? ご飯行きたいね」

 ……とまあ、バカバカしすぎるやりとりが延々と繰り返されるだけだったが、やはりというか、当然この自称キムタクは、最後に女性になりすました筆者を、とあるサイトに誘導するのである。

「この携帯、マネージャーに見られているんだよね……」
──え? 奥さんにもバレるんじゃ? やばい?
「そうだね……。だからこのサイト(URL)にいる“takuya1113”にメールしてくれない」
──このサイトに登録をすればいいの?
「そうだね! このサイトなら、誰にも見られることなくメールのやりとりができるよ!」
──キャー! 本当に? 今すぐ登録するネ(ハート)

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