65万人以上もの少数派イスラム教徒ロヒンギャを難民化させているミャンマーで、3月初頭、日本財団の支援により2つの学校が完成した。同財団が2002年に始めた学校建設支援は、北東部シャン州、ヤンゴン近郊のエーヤワディ、西部ラカイン州の3地域で計460校に達している。
ロヒンギャの惨劇が起こったラカイン州をはじめ、学校建設事業が行なわれているのは、少数民族が多く住み、生活のためのインフラや教育環境の整備が遅れている地域だ。
例えば今回、中学校の新校舎が落成したエーヤワディ地域・ウェーダーアスージー村には電気が届いていない。生徒数が村の人口約400人とほぼ同数であることに驚くが、それは学校のない周辺の村々から片道1時間、2時間かけて通う子供もいるためだ。
現地で落成式を取材したフォトジーナリストの山本皓一氏はこう語る。
「これまでの援助は、校舎や道路、橋といった器を造って終わりでしたが、学校であれば何をどう教えていくのか、どうやって運営を持続させていくのかが大事。そのためには現地の人々の教育に対する意識が変わらなければならない。日本財団は、地元の人々に建設地や資金の一部を負担させることで、子供の将来のために自分たちが学校を作るんだという自覚を持たせる仕組みを作っています」
一方で、住民が学校運営を継続する資金源を作るための地域開発事業も進められている。ロヒンギャ問題でその深刻さが最悪の形で露わになった民族・宗教問題は、学校にも影響を及ぼしているのか。