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競馬の調教師コメント「敗因が分からない」の読み取り方

角居勝彦氏が凡走について語る

 天皇賞(春)に向けた重要なレース・日経賞は、本稿校了後の3月24日に行なわれた。天皇賞でも人気を集めそうな角居厩舎の菊花賞馬キセキについて、昨年12月の香港での凡走をどうとらえたらいいのか? 角居勝彦調教師はさまざまな可能性を考えていた。角居氏の週刊ポストの人気連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、敗因が分からないときに気になった、“見えない疲労”について考えた。

 * * *
 レースで敗れたときの調教師のコメントに「見えない疲労があったのかもしれない」があると以前に書きました。なにも韜晦しているわけではなく、本当に凡走の原因が分からないこともある。当の私も、昨年12月の香港ヴァーズで菊花賞馬キセキが9着に敗れたレース後に、そう話しています。鞍上のM・デムーロも「直線でファイトしなかった」と語っていて、ファンが納得するような具体的なコメントではなかった。調教師にも厩務員にも騎手にも、見えないことがあるのです。

 その「見えない疲労」に関して、開業18年目の私が最近になって分かったことがあります。日本の馬場は硬く、馬は足元にダメージを受けます。ざっくり分けて2種類、骨格的ダメージと筋肉的ダメージです。

 骨格的ダメージは関節に痛みが出るのですぐに分かる。ところが筋肉的ダメージは分かりにくい。深刻な筋肉疲労があり、それがまさに季節が変わるくらい後になって出てくることもある。その可能性は否定できないのです。

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