新年度を迎え、小中学校のPTAや地元町内会の役員改選が行われようとしている。任意とは名ばかりで、なかば持ち回りで強制的に「役」を押し付けられる風潮に、あちこちで批判も高まっている。“組織学者”として知られる同志社大学政策学部教授の太田肇氏が、こうした旧態依然とした組織に早急な改革を促す。
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毎年この時期は、自分にPTAや町内会の役が回ってきたらどうしようと考えて憂鬱になるという人が少なくない。
くじ引きや選挙でいきなり役員になったら、たびたび開かれる会合や行事にかり出されるので、仕事のスケジュールも家族旅行の計画も見直さなければならなくなる。なかには仕事との両立が難しいため、やむなく退職する人、PTAや町内会を脱退する人、役員が回ってきそうになったら引っ越す人までいる。
朝日新聞が2015年に行ったアンケート調査によると、PTAのイメージについて73%の回答者が「面倒くさい・負担が大きい」と答えている。また自治会・町内会について「不要」もしくは「どちらかといえば不要」と答えた人が49%にのぼり、「必要」もしくは「どちらかといえば必要」と答えた人(45%)を上回っている。
これほど多くの人が負担に感じ、人気のないPTAや町内会には、やはり構造的な問題があると考えてよかろう。旧態依然とした組織が時代に合わなくなったのだ。あらゆる組織のなかで最も改革が遅れているのがPTAや町内会だといっても過言ではない。
◆欧米のPTAが元気な理由
ところで海外を見渡すと、PTAはもちろん、地域自治会のような組織もまったく存在しないわけではない。意外にも欧米のPTA活動は日本よりむしろ活発だ。しかも親や地域の人たちが自ら積極的に参加している。
その理由は2つある。
ひとつは、PTAなら学校行事の手伝い、地域自治会なら行政の下請的な「役務」がないことだ。つまり自分たちの子どもが通う学校、住んでいる地域をよくするという、ほんとうの意味での自治的な活動をする組織なのである。
もうひとつは、強制がないことである。加入も活動への参加もすべてボランティアであり、リーダーは立候補した人のなかから選ばれる。ボランティアにするとリーダーのなり手がいないのではないか、強制加入にしなければ組織が崩壊するのではないかと想像しがちだが、実際はむしろ逆のようだ。