投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が4月2日~4月6日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は上げ渋りか。トランプ政権は、中国や日本をターゲットに鉄鋼・アルミ製品の輸入制限に踏み切り、中国が即時対抗措置に言及したことで米中貿易戦争が懸念された。その後、両国は協議による解決を目指すとし、激しい貿易摩擦は回避されたとの見方が広がっている。
米中貿易摩擦の回避や米朝関係の改善などを意識してリスク回避のドル売り・円買いはやや後退している。日本の政治情勢の不透明感も払しょくされつつあることもドル買い・円売りを支援するとの声が聞かれている。核開発をめぐり緊張感が高まっていた北朝鮮とは5月中に首脳会談が行われる見通しとなり、米朝間の緊張緩和が見込まれる。こうしたトランプ外交への期待から、ドル買い・円売りに振れやすい地合いとなろう。
ただ、新たなドル買い材料が提供されない場合、ドル買い・円売りの勢いはやや弱まるとの見方が多いようだ。米連邦準備理事会(FRB)は今年3回以上の利上げを行なうとの思惑は後退しつつあり、米10年債利回りは2.8%を下回った。また、追加利上げが実施された後も、2年債と10年債の利回り格差の縮小は続いており、利上げ継続によって2年-10年の利回り格差はいずれ消滅するとの観測が広がっている。
4月6日発表の3月米雇用統計がインフレ加速を示すものでなかった場合、利上げペース加速の思惑はさらに後退し、ドルの上値は再び重くなりそうだ。なお、トランプ政権内では3月中にティラーソン国務長官など4人のメンバーが交代しており、人事に関する不透明感は払拭されていないこともドル買い抑制の要因となりそうだ。
【米・3月ISM製造業景況指数】(4月2日発表予定)
2日発表の米3月ISM製造業景況指数は60.0と、2月の60.8を小幅に下回る見通しだが、引き続き高水準が見込まれ、製造業の堅調が意識されよう。市場予想を上回った場合は株高・ドル高となる可能性がある。
【米・3月雇用統計】(4月6日発表予定)
6日発表の米3月雇用統計は、失業率4.0%、非農業部門雇用者数は前月比+19.0万人、平均時給は前年比+2.7%と予想される。利上げ加速期待が後退するなか、市場予想を下回れば明確なドル売り材料になる。
・4月2日-6日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。