病気の早期発見を可能にする最新医療検査がさまざま登場しているが、自分に必要な検査が何かを見定めるには、「自分の体から発せられるサインに耳をかたむけること」が必要である。
最新検査を的確に選ぶための「注意すべき自覚症状」とはどのようなものか。まずポイントとなるのは体の「痛み」だ。秋津医院院長の秋津壽男医師が解説する。
「命にかかわるような緊急性の高い病気の予兆は、頭部や胸部ばかりでなく、全身に痛みが生じるケースが多い」
日本人の死因1位であるがんの場合、部位に応じて体中に痛みが生じる。がんができた部位と痛みが生じる部位は必ずしも同じでないため、横断的な検査が必要となる。大泉中央クリニック院長の砂村眞琴医師が有効だとするのが「唾液がん検査」だ。
「この検査は、がんに罹ったときに唾液中に多く溶け出す物質の量を測定することで、がんに罹患している可能性を計測します。現在の対象は膵臓がん、大腸がん、肺がん、乳がんの4種類。唾液を採取するだけで、痛みは全く伴わないため、手軽に多くの部位のがんのリスクを調べることができます」
検査費用は2万~3万円(税込み)で所要時間はわずか5分。砂村院長のクリニックでは、唾液がん検査を受診した330人のデータを分析。“ステージ0”の超初期の大腸がん患者2人と、がんに進行する可能性が高いポリープ患者1人が見つかり、3人とも切除手術を受けている。
予兆となる痛みがピンポイントで現われた場合は、さらにがんの種類を絞りこむことができる。
そして、自覚症状が少なく、進行が早いため「見つかった時は手遅れ」というケースも多い膵臓がんのサインは、左背部(背中の左側)の痛みだ。