放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、業界が注目する女優・清野菜名のブレイクを予想。
* * *
犬役の織田裕二と猫役の菜々緒が印象的だった『OPEN HOUSE』のCMに今年1月からTOKIOの長瀬智也が出演。かつて自身が主演したドラマ『マイ ボス マイ ヒーロー』(日本テレビ系)での教室風景さながらに「平米」や「立地」といったワードに首を傾げるのが「夢見る小学生 転校生」編だ。
長瀬の後ろに座るクラス委員長役は清野菜名だが、ネットで「あのカワイイ女の子は誰?」と話題になっていることに、まだ、そこまでの知名度なのかと驚かされた。
清野は現在23才。同年代には、二階堂ふみ、土屋太鳳、川口春奈、広瀬アリス、早見あかり、吉岡里帆、そして川栄李奈と、名前と顔を一致させて久しい主演級の女優が勢揃いしている。確かに彼女たちに比べて清野菜名の知名度は落ちるし、『OPEN HOUSE』の他にも、『cleadew リペア&モイスト』『ラクスル』『モンダミン』、『アクエリアス』、坂口健太郎と別バージョンの『DODA』、唐沢寿明と共演した『ミツカン』などなど実に多くのCMで見かけるわりには、件の女優たちや広瀬すずなどと違って、「また出てる」感がない。
連ドラや映画、舞台を含め、作品によって清野が変幻自在に立ち回りすぎることが、顔と名前を覚えてもらえない理由の一つなのだろうか。
そんなジレンマからなのか、業界人の間では「清野菜名をいつから知っていたか」「どの作品で注目したか」と、その早さを自慢するような会話が最近特に聞かれる。
清野菜名が現在所属しているのは『ステッカー』なる事務所。筆頭は松嶋尚美で、他に笑福亭鶴瓶の息子、駿河太郎も所属している。つまりは“鶴瓶カラー”が色濃い事務所ゆえか、バラエティー番組のディレクターやプロデューサーに「清野菜名」の知名度は高い。
その中の一人で、ドラマや映画の演出も手掛ける日本テレビの徳永清孝氏は、映画『TOKYO TRIBE』に清野が出ることになった理由からよく知っていた。
そのアクションの巧さと潔い脱ぎっぷりが話題になった同作のオーディションに初め落ちていた清野は、後に行われたアクション部門でのオーディションに合格し、ヒロインとなる。アクションの他に特技は、バク転、殺陣、ギター、ドラム…と“女子”のそれとは一線を画している。
また、同局のスター演出家、水田伸生氏は、『ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編』で清野と仕事をしていて、「まず頭がいい」「芝居に迷いがない」「将来性ある女優」と絶賛だ。
そんな清野が全国ネットの連続ドラマで初主演したのは昨年10月期のこと。あの『やすらぎの郷』に続く「帯ドラマ劇場」第2弾として放送された『トットちゃん』(テレビ朝日系)で黒柳徹子役を演じたのである。その前年の16年にはテレ朝系列のメ~テレ制作の連ドラ『まかない荘』に主演し、その前年の15年には映画『東京無国籍少女』に主演している。
ちなみに、筆者に強烈な印象を与えたのは15年1月期の『ウロボロス~この愛こそ、正義。』(TBS系)だった。主演は生田斗真で、その生田の熱烈オファーにより小栗旬が共演。他に吉田鋼太郎、吉田羊、光石研、ムロツヨシ、綾野剛ら、通好みの演技派が多数出演する中でも異彩を放っていたのが清野菜名だった。