ネット通販の普及もあり、街の書店が次々と姿を消しているが、その一方で変わった書店も人気となっている。
北海道には現在、書店が1軒もない町が存在している。そこに2年前に登場し、重宝されているのが、『北海道ぶっくぱーとなー』の取り組みの一つである移動書店『走る本屋さん』だ。
運営する『北海道ブックシェアリング』は、読書環境が悪化する現状に危機感を覚え、マイクロバスに本を積み、喜茂別町、妹背牛町など無書店自治体を定期的に訪問する取り組みを進めている。
「これらの地域は、書店のみならず、公共図書館もありません。そのため、子供たちは本がジャンルごとに陳列されているところを見たことがないんです。これでは知的欲求が広がりません。ネット注文はたしかに欲しい本が手に入ります。でも、やはり子供には、たくさんの本が並ぶ場所に身を置いて、自分の興味のある本をいくつも手に取って、あれこれ触れてほしい。そのため、走る本屋さんは児童書や絵本を中心にそろえています」(同団体・荒井宏明さん)
ワゴン車に積むのは児童書、絵本の新刊が約600冊。大人向けの書籍は、中古本を中心に約200冊。団体メンバーには元書店員が多く、幅広いジャンルをセレクトしている。また、読み聞かせや図書祭りなどのイベントにも積極的に取り組み、未来を担う子供たちに本のすばらしさを伝えていくという。
また、『ネスレ日本』と『九州TSUTAYA』がタッグを組み、ワゴン車に書籍とカフェメニューを常備し移動販売を展開しているのが『ReaDrink WAGON』。現在は、福岡県志免町を中心に行っている。本は、TSUTAYA BOOK GARAGE 福岡志免店がセレクトし、「料理」「動物」「旅」など、毎回、テーマが変わる。販売する際は、テーブルや椅子も設置され、地元の人々のコミュニケーションの場となっている。
※女性セブン2018年4月19日号